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私たちが初めて大学新卒者の採用を行ったのは今から3年前のことでした。
当時は、新卒者が買い手市場ということもあり、22名の内定者を獲得。初めての試みにしては順風満帆なスタートを切ったかのように見えました。しかし・・・
それまで経験したことのない雇用に当たって、私たちはあまりにも無邪気で、そして無防備なままだったのです。

だれが最初に言い出したのかも忘れてしまいました。
なぜなら、あまりにも多くの同僚たちが、口をそろえて同じことをいい始めたからなのです。

 

確かにこれまでも、多くの人材が育ち、企業の成長を支えてきてくれました。
しかし、それらも振り返ってみれば『いつの間にか成長していた』というレベルのもの。

なぜ、彼らを採用したのかを考えた。
そんな旧態然とした経営体質から脱却したい・・・私たちは未来を見据えた組織改革の一環として、新卒者の採用を決定したはず。
それなのに、ふと気づけば、以前と同じ『運を天に任せる』ような考えの中で、
ただ漫然と新卒採用者たちを泳がさざるを得ない状況に追い込まれていました。

新卒といえば、学生からそのまま社員になるので現場経験をしている人は皆無。入社後いきなり現場に出されてしまうと、不安や戸惑いを感じるはずだし、最悪の場合、離職にも直結してしまう・・・それだと、わざわざ彼らを採用した意味がなくなってしまうのです。
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彼らの人生に価値ある第一歩を記したい。
初めて就職する会社が、その人の人生に与える影響は計り知れないものがあります。
会社を嫌いになって退職することがどれほど不幸なことか。
実は、私にも経験があったんです。今から思えば、不本意な退職ですね。
だからよく判るんです。
せっかく私たちの会社を選んでくれた新卒採用者達にそんな経験はさせたくない、不幸な目にはあわせたいない、と思っていました。

当初、新卒に対しては、数年前から実施している社員向けの研修を受けさせようか、と考えていました。業務で必要となるノウハウを叩き込み、いち早く現場に送り込み、経験させることが成長に繋がるだろうと。私たちのノウハウなんて、その程度のものでしかなかったのです。


しかし、Faithグループの担当コンサルタントが発した言葉に、私たちはハッと息を呑むことになります。

「本当に新卒のためを思うなら、まずは既存社員の意識変革から始める必要があります」

この言葉は、まるで自らに向けて放たれた矢のように、自らの胸にくすぶる不安を射抜きました。
そのとおりだ。私たちの考え方から変えなくてはいけない。
でもどうすればいいんだろう。

私達は、Clue研修を通じて、そんな多くの疑問が解決されていくことになるとは、この時点では夢にも思っていなかったのです。
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『新卒者を辞めさせないための秘訣は、既存社員が変わること』
『なぜなら、彼らが辞める理由のほとんどが、先輩社員との人間関係にあるんです』
『貴社ではそのための準備を、何かおこなていますか?』

新卒採用者たちをどう育ていくべきか、そのことばかりを考えていた私たちにとって、Faithグループのコンサルタントが持っていた視点は、想像すら出来なかったこと。
正直、盲点でした。
新卒採用者が辞めてしまうのは新卒採用者のせいだとばかり思い込んでいたくらいですから。

先輩社員たちに、新しい仲間を受け入れる意志がなければ、新卒採用者たちが働きづらくなるのは当然。そして、辞めていくのも当然な結果だといるでしょう。

 

新しい発想に基づいて始まった新卒採用者研修プロジェクト。
真っ先に研修を受けたのは主任以上の社員たちでした。

彼らの不安と悩みも、決して少なくはありません。

しかし・・・
研修が進むにつれて、既存社員の様子は一変します。
新しい考え方や知識を身に付けることで、『知らなかったこと』が原因だった不安が次第に解消されていきました。
そして、社員たちが、少しずつ自信に満ちていくのが手に取るように判りました。

ひとりがひとりを育てる
このプロジェクトにおける一番のポイントが、新卒採用者一人ひとりにメンターと呼ばれる担当者をつけること。

信頼できる同僚や仲間・・・
この存在があれば、ちょっとやそっと苦しくても頑張っていける。
迷った時や間違った時に道を示してくれる。
新卒採用者を辞めさせないためにメンターの育成は欠かせない要素である、と考えたのです。

そのための研修プログラムでは、新卒者の模範になり、新卒者のよき理解者にもなり、時には厳しく指導する立場になるという、メンターに求められる要素を習得。既存社員から選出されたメンター候補が、この場を通して新卒者との向き合うための準備に取り組みました。

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新しい仲間と初めて対面する人が大半を占める中、いよいよ新卒採用者研修が始まりました。
新卒採用者研修『Clue』は、一般的な社会人としてのマナーに加えて、チームビルディングや現場で即活用できるにサービスマナーなど、多岐にわたるカリキュラムを合計3日間にわたって学ぶというもの。

待ちに待った社員たちの心には「期待」に満ちており、それまでの不安は微塵(みじん)も感じられませんでした。

しかし・・・
新卒採用者たちの様子は、予想していた期待と不安でいっぱいの感じではなく、むしろマイナスなイメージ
・・・「やる気がない」「だらだらしている」・・・
そんな新卒採用者をしり目に、研修は着々と進んでいきました。

『なんだ、既存社員のほうがポジティブじゃないか』
うれしいような悲しいような不思議な気持ちを抱きつつ、新卒採用者に対する懸念を我慢しながら研修の様子を眺めていた私でした。


研修も終盤に差し掛かったころ、新卒採用者に驚くべき変化が表れていました。
研修の最後に新卒として入る決意表明をする場面。
なんと、彼らの目には真剣さがうかがえ、さらには感極まって泣いてしまう人も現れる始末。
この『涙』って、とても重たいですよね。
新卒採用者たちと一緒に頑張っていこうという気持ちにさせられました。

決意表明の中に、
「この会社を選んで本当によかった」
という言葉が出てきたのは本当にびっくりです。
まだ働く前なんですけどね(笑)。

私もうれしくて、少し涙目になったのを覚えています
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世間一般で意欲いわれていることですが、5月の連休を過ぎたあたりに新入社員の心は一つのピークを迎えます。Clue研修はそんなことも見越しているみたいで、まさに絶妙のタイミングでフォローアップ研修が設定されています。

その場で出てきた、というより「噴出した」意見の数々に、

『こんなことを感じていたんだ』
『こんなところを不安に思っていたんだ』

私たちはただ驚くばかり。
しかし、不満の期待の裏返し。それだけ会社に期待を寄せられているということなんです。

安心ばかりじゃなにも変わらないと、新卒が働きやすい環境をつくろう、と決意したのは私ひとりではありません。多くの社員が、フォローアップ研修を通じて、同じようなことを感じたようです。
結局、新卒研修を通して一番気づかされたのは、我々先輩のほうだということですね。

それからも節目ごとに新卒採用者のフォローアップ研修を行って、2年の月日が流れました。その間、採用した22人のうち、退職したのはわずか2名。
真っ白な心で入社してくれた新卒一期生は、今や幹部候補生として組織の将来を背負える人材へと成長を果たしています。
そして、彼らが自らの入社当時のことを思い出して、次の世代に伝えようとする姿に触れるたび、
「ここまで来たか」
と感慨深くその様子を眺めています。

今思えば、新卒を一般社員と同じように扱おうとしていた自分が恥ずかしくもあり、懐かしくもあります。これから私が取り組むことは、こうして育まれた風土を守り続けること。私にとってとてもうれしい役割であるといます。

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